<言語聴覚訓練、失語症訓練、認知リハビリ、言語リハビリ、嚥下リハビリ>
主に脳血管疾患後の後遺症(言語障害:失語症・構音障害等、嚥下障害、高次脳機能障害:記憶障害・注意障害・遂行機能障害等)に対して入院早期より言語聴覚療法(評価・訓練・家族指導・コメディカルへの情報提供)を開始し、患者さん・家族にサービスを提供します。
入院リハビリ、短時間通所リハビリ、訪問リハビリに対応。
実績:2009年1月1日~12月31日で言語聴覚療法を開始した患者数: 633名(入院患者)
介入病名:①摂食・嚥下障害②構音障害③失語症④高次脳機能障害⑤その他
【最近のトピックス】
○JMSの舌圧測定器の導入(2011.04.01)
○第12回日本言語聴覚士学会総会in郡山・・・・開催中止
「重度失読失書を呈した一例におけるSPECT評価」演題発表(時田)
○川﨑医療福祉大学実習生受け入れ(時田)(2011.05.06~07.02)
○部門勉強会「扁桃体と社会的行動障害について(時田)」(2011.06.28)
○第12回九州神経心理研究会(2011.05.29)in福岡
「左中大脳動脈穿通枝梗塞により健忘性失音楽を呈した一例」演題発表(時田)
○第22回日本嚥下障害臨床研究会in尾道 参加(橘高)
○ヒューマンムーブメント研修会参加(野間)
○日本高次脳機能障害学会夏季セミナーin京都(2011.07.17~18) 参加(三縞)
○第22回阿蘇カンファレンス(2011.08.27.28)
「左脳梁膨大部後域梗塞により微視症を呈した一例」発表予定(時田)
○広島県言語聴覚士会 東部ブロック研修会開催
①講演:「失語症者の理解障害・評価と治療について」
県立広島大学 津田哲也氏
②症例検討(第一部)
・「広島県内における嚥下造影検査についての実態調査」
尾道市公立みつぎ病院 吉村美佳氏
・「舌圧測定器を用いた嚥下評価について(仮)」
因島医師会病院 池田友紀氏
③カレントスピーチ
・「舌圧測定器と最近の話題について」
株)ジェイ・エム・エス 豊田耕一郎氏
④症例検討(第二部)
・「右の脳梁膨大部後部領域の脳梗塞により微視症を呈した一例」
脳神経センター大田記念病院 時田春樹氏
・「ニオイ刺激による唾液分泌促進効果のメカニズムの検討」
○県立広島大学コミュニケーション障害学科学生受け入れ(津田)(2011.09.26)
○福岡高次脳機能障害研究会参加(2011.10.29) (時田)
・前頭葉と神経心理・・・田川皓一先生(長尾病院)
・脳血管障害と精神症状・・・三村將先生(慶応義塾大学病院)
○第35回日本高次脳学会総会in鹿児島(2011.11.11.12)
演題発表:「右の脳梁膨大部後部領域の脳梗塞により微視症を呈した一例」(時田)
各種神経心理検査:
<言語>標準失語症検査、失語症語彙検査、標準ディサースリア検査、CADL検査、
<注意>標準注意・意欲検査、TMT ストループテスト等
<遂行機能>BADS
<記銘力>WMS-R 三宅式記銘力検査 等
急性期では特にベッドサイドの評価・治療が重要となってきます。
当院の電子カルテや画像診断システムを活用して、短い期間で最大限の治療効果が出るように今後も取り組んで参ります。
<2012.1.25更新>
言語聴覚療法室
言語聴覚療法室を紹介します。 ST6人に対し4つの訓練室をフルに活用しています。ベッドサイドでの評価・訓練を経た後、更にこの部屋で、拡充を図ります。時には風船バレーを行ったりと笑いの耐えない部屋です。全室の床には防音シートを張っています。
ST室には通信カラオケがあります。患者さんなどに使って頂くために用意しています。入院患者さんでも「歌を歌うこと」を趣味をされている方が非常にたくさんおられます。
安静状態が必要な患者さんについてはベッドサイドにて訓練を行います。
最近では、集団療法室に1台パソコンが入りました。最近のパソコンは色々出来て非常に便利です。
CogHealthというパソコンを使った認知機能検査ツールを導入しました。早期認知症検出に有効と言われています。
言語聴覚士の打ち合わせ
毎日リハビリミーティング後に行われるミニSTミーティングを紹介します。その日の各STの外来の予定・入院患者さんについての情報交換・回診報告などを行い、「各セラピスト間の意識統一・治療の質の統一」に努めています。
365日体制になってから、全員が揃うことがほとんどなくなりました。STが休みでも入院患者さんのリハビリは休みになりません。代わりのSTが切れ目なくリハビリのフォローに入ります。
現在、脳神経外科部門と共同研究を行っています。まだデータ蓄積中ではありますが、遂行機能を評価する「BADS」の施行に関しては、これまで多くの件数を行っていますので、皆、得意になりました。
病棟でのリハビリ
病棟担当制について紹介します。各STは、集中治療室・各一般病棟での病棟担当制になっており、リハビリカンファレンス・新患チェック・突然の嚥下指導などに対応できるようにしています。特に病棟医・看護師と家族との太いパイプ役となれることを目指しています。
脳卒中リハビリで重要なものに「合併症の予防」があります。
特に急性期患者の約70%に誤嚥性(ごえん)性肺炎を発症するリスクがあるといわれており、特に80歳以上の高齢の方は更にリスクが高くなりやすい傾向にあります(当院データより)。
誤嚥性肺炎予防の為にはまずは「口腔ケア」が重要です。
地域連携パス・DPCの兼ね合いもあり、特に栄養評価・栄養管理が重要となってきています。
最近、特に急性期脳卒中病院では、セラピストと介護士さんとの連携を特に密にしておく必要があると考えています。移乗や食事介助といった、褥瘡、誤嚥に直結しているのは、何もセラピストや看護師だけではありません。介護士さんのアイデアや力をかりて急性期の合併症予防に努めて参ります。
昨年4月より、田川皓一先生(日本高次脳機能障害学会理事、日本神経心理学会理事 ほか多数)による高次脳機能障害外来が開設されました。物忘れの鑑別診断などには、神経心理学的評価(言語評価、記憶評価など)が重要な情報となってきます。
入院患者さんの診療においても田川先生からは良きアドバイスを頂いています。CT・MRIなどの画像診断については大変勉強になります。
<広島県言語聴覚士会 専門講座の講師として招聘>
神経心理学の画像診断~失語症を中心に~
平成23年11月20日(日)、広島大学にて平成23年度広島県
ST時田春樹
(2011.11.24)
①「脳血管障害と精神症状」慶応義塾大学 三村 將先生を聴講しました。
これまで脳血管疾患後の後遺症である失語・失行・失認に関して、多くの研究が出されており、その発現機序や臨床経過が徐々に明らかになりつつある。しかし、最近では、変性疾患の患者の増加に伴い、変性疾患による失語・失行・失認の患者も増加しており、また新たに失語・失行・失認のあり方を再検討するべきであるということであった。従来の脳血管疾患は急性発症が主であり、また特定の領域の障害によることが多いため、その機能局在について述べられることが多かった。しかし、変性疾患については、局所的な損傷により障害が発生するということではなく、「システム」として全般的に障害されるという点で脳血管疾患とその発現機序が大きくことなる。つまり、脳血管障害は障害のされ方が非システム的であり、変性疾患はシステム的であるということである。
①CVAとせん妄:従来の認知症におけるその周辺症状として、幻覚、妄想、せん妄、睡眠障害、作話、カプグラ、不安、強迫性症状、不穏、人格変化、抑うつ、アパシーなどがあげられるが、アルツハイマー病や認知症患者は常にその症状を了解可能である。脳血管疾患後に、認知症の周辺症状である幻覚や妄想を呈する患者はいるが非常に少なく、その理由についてもよく分かっていないということであった。
②血管障害の精神症状:幻覚を伴う疾患として、DLB、AD、VDの順に多い。妄想は、DLB、AD、VDの順に多い。特に右前頭葉、内側面から底面が重要とされており、「自己のモニタリング」と関係があるとのことであった。脳血管疾患後に人物誤認や嫉妬妄想を呈する患者がおり、右の島~前頭葉皮質下の病巣でと、右の島における「身体感覚の集合」との関連性があるとのことであった。
特に妄想の問題は、心因性の要因が大きく、かなりデリケートな問題で一様ではない。嫉妬妄想に関しては、患者が男性の場合、妻を責める。また患者が女性の場合は、相手の女性を責め、夫をかばうという傾向があるとのことであった。
③CVAとPost-Stroke-Depression(PSD):PSDはリハビリ病院で多く、患者の平均20%に併発している。うつ(悲観的)とアパシー(無感情)は対極にありその区別が重要であるとのことであった。PSDを併発している患者は、10年後の生存率が低い。また、うつがあると患者のFIMもQOLも低いということであった。
④精神疾患と治療:うつの運動療法も注目されている。PSDに限らず、抗うつ薬には、脳機能改善や神経再生の効果があるということが分かってき、うつと診断される前から飲んでおく事もCVAの機能予後に影響を与えることが分かっている。今後も現場で使用される頻度は増えてくるということであった。しかし、実際の臨床の現場では、様々な要因が関係している為、一概に患者の意欲減退や無為などについて、なんでもかんでも「うつ」と呼ぶのは危険があり、注意が必要である。
⑤post-stroke-Mania:既往でうつ病があり投薬治療を行っていたがCVA発症後、うつが減少した患者の報告があった。CVA後のSPECTでは、左前頭葉の眼窩面の血流が増加していた。従来から報告されているように「うつ」と「そう」はうらはらである。特に今回、東日本大震災後、東北のある病院では、入院している患者のうち「そう」患者の割りあいが、約3倍に増えたという報告がでた。
②平成23年11月11日・12日に鹿児島で行われました日本高次脳機能障害学回総会に参加して来ました。初めての九州新幹線とはじめての桜島でした。天気は曇りでしたが、非常に過ごしやすい気候でした。
前頭葉に関するセッションや認知症のセッションなどがあり、あらためて言語聴覚士が対象とします分野の広さを実感致しました。
「古い用語の解体」も徐々にはじまっているという印象も受けました。私達は最近の知識を持って、患者さんの治療にこれからも当たって行くべきであると気持ちを新たに致しました。
ST 時田 春樹
(2011.11.15)